雇用統計の速報は書き換わる|7月は+2.1万人が−1万人に
相場に張り付いていたころ、米国の雇用統計の夜は私にとって特別な夜でした。発表の瞬間に数字が出て、その数字で値が跳ねる。あの数分間のために、ほかの予定を全部どけていました。結論から書きます。その数字は、翌月と翌々月に書き換わります。2026年10月2日に出た9月分の発表では、7月の雇用者数の増減が+2万1,000人から−1万人へ、8月が+16万2,000人から+13万3,000人へ改定されていました。2か月合わせて6万人の下方修正です。
発表の数字を、私は確定した事実だと思っていた
脱サラしたばかりのころ、雇用統計は「答え」でした。予想より多いか少ないか。その差がすべてで、出た数字の正しさを疑ったことは一度もありません。夜中に数字が出て、値が動いて、私の気持ちも一緒に動く。その繰り返しでした。
米労働統計局(BLS)の発表文を自分で開いたのは、ずいぶんあとになってからです。本文の終わり近くに、前の2か月の改定がいつも1段落で書かれていました。改定は、前回の推計以降に企業や政府機関から届いた追加の報告と、季節調整の計算し直しによるものだと、BLS自身が説明しています。
9月分の発表には、何が書いてあったか
2026年10月2日(金)、米東部時間の午前8時30分に出た9月分の発表から、私が見るようになった数字を並べます。
| 項目 | 9月分の発表(2026年10月2日) |
|---|---|
| 非農業部門雇用者数の増減 | +2万9,000人 |
| 失業率 | 4.2%(3月以降4.1〜4.3%の範囲) |
| 平均時給(民間) | 37.81ドル(前月比+5セント・+0.1%、前年比+3.0%) |
| 7月分の改定 | +2万1,000人 → −1万人(−3万1,000人) |
| 8月分の改定 | +16万2,000人 → +13万3,000人(−2万9,000人) |
9月の+2万9,000人は、過去12か月の月平均4万5,000人を下回りました。そして7月は、最初は「増えた」と発表された月が、2回目の改定で「減った」月に変わっています。符号が逆になったのです。発表の夜にあの+2万1,000人を見て動いた人の判断は、2か月後には前提ごと入れ替わっていたことになります。
失業率と雇用者数は、別の調査から出ている
もうひとつ、発表文の冒頭で知ったことがあります。雇用統計は2つの調査の結果を同時に載せたものでした。失業率は家計を対象にした調査から、雇用者数は事業所を対象にした調査から出ています。
家計調査のほうには、私の胸に刺さる数字も並んでいました。27週以上仕事が見つからない長期失業者は190万人で、失業者全体の27.1%。フルタイムで働きたいのに、勤務時間を減らされたり仕事が見つからなかったりしてパートで働いている人が450万人。会社を辞めたあとの、収入が細い月の自分を思い出しました。雇用者数の+2万9,000人という1行の裏に、こういう数字が並んでいます。
速報に飛びつかなくなって、夜が戻ってきた
改定の段落を読むようになってから、私は発表の夜に張り付くのをやめました。理由は単純で、その夜の数字は2か月かけて書き換わる途中の1枚目だと分かったからです。1枚目に全部を賭ける理由が、私にはもう見つかりませんでした。
フリーランスの収入にも、似たところがあります。1つの月だけを見て先の予定を組むと、数か月たってから違う姿が見えてくる。収入が細い月ほど相場に近づきたくなる私には、この「1か月で決めない」がいちばん効きました。だから今は、1つの月の数字で生活の判断をしないと決めています。
次の発表は、10月分が2026年11月6日(金)の米東部時間午前8時30分です。米国は11月1日に冬時間に戻るので、日本時間では22時30分になります。私がその夜にやるのは、翌朝に発表文の最後の段落、つまり前の2か月の改定を読むことだけです。
まとめ|速報は1枚目、改定まで読んで1つの数字になる
米国の雇用統計は、発表から2か月かけて改定されます。2026年10月2日の発表では、7月分が+2万1,000人から−1万人へ、8月分が+16万2,000人から+13万3,000人へ書き換わり、2か月で6万人少なくなりました。発表の夜の数字に全部を預けるのをやめたら、相場との距離を自分で決められるようになりました。これはFXをやめろという話ではなく、私が張り付きから抜けたときの記録です。
よくある質問
米雇用統計の速報値は改定されますか?
されます。各月の雇用者数は、翌月と翌々月の発表で改定されます。2026年10月2日の発表では、7月分が+2万1,000人から−1万人に、8月分が+16万2,000人から+13万3,000人に改定されました。
なぜ改定されるのですか?
BLSの説明では、前回の推計以降に企業や政府機関から追加で届いた報告と、季節調整の要素の再計算によるものです。速報はその時点で集まった報告からの推計です。
2026年9月の雇用統計の結果は?
非農業部門雇用者数は+2万9,000人、失業率は4.2%、民間の平均時給は前月比5セント増の37.81ドルでした。
次の雇用統計はいつですか?
10月分は2026年11月6日(金)の米東部時間午前8時30分に公表予定です。米国の冬時間入り後なので、日本時間では22時30分です。
本記事に掲載した雇用統計の数値・改定・公表予定は、米労働統計局(BLS)「The Employment Situation - September 2026」(2026年10月2日公表)から、2026年10月4日に確認して引用したものです(日本語は筆者訳)。日本時間への換算は筆者によるもので、公表予定は変更されることがあるため、実際にご確認の際は必ず最新版をご覧ください。FX(外国為替証拠金取引)は為替相場の変動により損失が生じるおそれがあり、預けた証拠金を上回る損失が生じる可能性があります(元本保証はありません)。本記事は情報提供および筆者の体験の記録を目的としたもので、特定の取引や行動を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。参考:BLS「Employment Situation Summary」https://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm。写真:Openverse(CC0・パブリックドメイン)。本サイトはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を利用しています。